参考文献の書き方

こんにちは、自然研M1のY.Yです。

皆さんご存じの通り、大学生はよく「レポート」を書きます

レポート作成には様々なポイントがありますが、そのポイントの1つが「参考文献」です

「参考文献にはどんな役割があるの?」「参考文献ってどのように書けばいいの?」・・・

このような疑問や悩みを解決できるよう、「参考文献の書き方」について具体的に解説していきます。

 

参考文献とは?

皆さんこんな経験はありませんか?

  • 「この本の内容をレポートに盛り込もう」
  • 「このインターネットの記事をレポートに使おう」

きっと、よくあることだと思います。

有名な研究者の意見を取り上げて自分の意見を述べたり、自分には行えないような実験の結果を用いて考察したりといったように他の人の文章を自分のレポートに取り入れると、自分のレポートにも厚みをもたせることができますよね。

このように、「他人が書いた文章」を自分のレポートや研究に使用するときの、「他人が書いた文章」「参考文献」です。*1

図書や論文、ウェブサイトなど他人が書いた文献は、自分のレポートにとても役立ちます。しかし、勝手に他人の文献を用いてはならず、自分が何を参考にしたのかをレポート内に示しておく必要があります。

参考文献の示し方(書き方)について説明する前に、まずは「参考文献を示す役割」を次の章で確認しておきましょう。

 

参考文献の役割

参考文献の役割としては様々なことが挙げられますが、「科学技術情報流通技術基準」には参考文献の役割が次のように書かれています。*2

  • 自身の論文の新規性、独創性、信頼性の明確化
  • 先行する著者(先人・先輩)に対する敬意
  • 出典の明示
  • 読者に対する情報提供

先人の業績を参考文献(引用文献)として示すことが、研究基盤の提示自身の成果の明確化に繋がるのです。もちろん、先人に対する敬意を示すといったことにも繋がりますね。

また、読者への便宜をはかるといったことも参考文献の役割です。読者が自分のレポート・論文を読んだ際に、その根拠となる文献を読み進めることがあります。そのため、誰が見てもその文献にアクセスできるような形で、参考文献を示さなければなりません。

 

これらの役割を踏まえて、参考文献を使用するためにはどのようなことに注意しなければならないのでしょうか。次の章でみていきます。

 

参考文献を使用するために

前の章で書いたように、「誰が見てもその文献にアクセスできるような形」で参考文献を明記することが重要です。

誰が見てもアクセスできるようにするには、次のような情報が必要になります。

  • 著者名
  • 出版年、更新年
  • 書名、誌名
  • ウェブサイト名、URL

これらの情報(書誌情報)の記載方法は1通りだけではなく、研究の系統・分野や参考文献の種類によって様々です

ここでは、主に理系向けの「SIST 02と主に文系向けの「APAスタイルについて紹介していきたいと思います。

  • SIST 02 主に日本語、特に科学技術分野でよく使われる
  • APAスタイル心理学・社会学などの分野でよく使われる

この2つの形式での参考文献の書き方について、次の章で具体例をあげながら説明していきます。

 

参考文献の書き方の例

図書雑誌論文ウェブサイトにおける参考文献の書き方を以下で説明します。

SIST 02、APAスタイルのそれぞれについて、赤字で「形式」、黒字で「具体例」を示しています。

1. 図書
  • SIST 02
    著者名 . 書名 . 出版社 , 出版年 , [総ページ数] , [シリーズ名] .

    〔例〕櫻井武 . 睡眠の科学ーなぜ眠るのかなぜ目覚めるのかー . 講談社 , 2010 . 

  • APAスタイル
    著者名(出版年) . 『書名』 . 出版社 , [シリーズ名] , [総ページ数] . 
    〔例〕櫻井武(2010) . 『睡眠の科学ーなぜ眠るのかなぜ目覚めるのかー』. 講談社 .

 ※ [総ページ数]と[シリーズ名]は省略することも多いです。

2. 雑誌論文
  • SIST 02
    著者名 . 論文名 . 誌名 . 出版年 , 巻数 , 号数 , p.始め-終わり .
    〔例〕古重奈央 . 小学校家庭科における片づけの学習の検討 . 日本教科教育学会誌 . 2019 , vol.42 , no.3 , p.55-67 . 
  • APAスタイル
    著者名(出版年) . 「論文名」 『誌名』 巻数 , 号数 , pp.始め-終わり .

    〔例〕古重奈央(2019) . 「小学校家庭科における片づけの学習の検討」 『日本教科教育学会誌』 42巻 , 3号 , pp.55-67 .

 ※ 巻数,号数は「○巻 , △号」「vol.○ , no.△」「○(△)」などの書き方があります。

3. ウェブサイト

 

ここで、便利な機能を1つ紹介しておきます。

「引用・参考文献の書き方」作成テンプレートです。

inyo.nichigai.co.jp

これは、いくつかの書誌要素を入力すると、自動的に参照文献が表示されるといった機能です。このブログの参考文献にも挙げている『レポート・論文作成のための引用・参考文献の書き方』(著:藤田節子)の読者向けに提供されている機能であり、SIST 02に準拠した書き方で参考文献が表示されます。

使い方は下の画像を参照して下さい。

f:id:Niigata-u_library:20211021131721j:plain

「引用・参考文献の書き方」作成テンプレート

 

本文との関連づけ

参考文献を使用する際には前章で紹介したような書き方で文献の情報を示す必要があるといったことを説明してきました。しかし、これだけでは不十分です。「本文中のどこで参考文献を用いているのか」も明確に示しておかなければなりません。

この章では、本文との関連づけの方法について説明します。

本文との関連づけの方法にも形式があり、今回はハーバード方式バンクーバー方式について説明します。

  • ハーバード方式

   本文での引用箇所に参考文献の著者名・発行年を記述し、

   参考文献欄は著者名・発行年順に参考文献を記述する                                               

  • バンクーバー方式

   本文での引用箇所に引用順に参考文献の連番を振り、

   参考文献欄に連番順に参考文献を記述する

 

それぞれの形式での例も紹介しておきます。

1.ハーバード方式
  • 本文

   この問題に関して、吉田(1990)は、~~~~という見方をしている。

   それに対して、「~~~~」(佐藤,2005)という議論も存在する。

  • 参考文献欄

   佐藤◇◇ . ○○ . △△ , 2005 .
   吉田◇◇ . ○○ . △△ , 1990 .

2.バンクーバー方式
  • 本文

   この問題に関して、吉田は、~~~~という見方をしている(1)

   それに対して、「~~~~」(2)という議論も存在する。

  • 参考文献欄

   (1) 吉田◇◇ . ○○ . △△ , 1990 .
   (2) 佐藤◇◇ . ○○ . △△ , 2005 .

 

注意事項

これまで、参考文献の書き方(参考文献欄の書き方)、本文との関連づけの方法について説明してきました。文献の種類別、レポートや論文の内容別に様々な形式を紹介しましたが、最後に2点だけ注意事項を書いておきます。

  • これまでに紹介した形式はあくまでも代表例です。形式に関しては、担当の先生の指示に従って適切な形式で記載して下さい
  • 1つのレポート・論文内で様々な形式を混用することはせず、1つのレポート・論文内での形式は統一するようにして下さい。

 

その他、詳しい内容を知りたい方は下の参考文献を是非手に取ってみて下さい。

また、ブログの内容をコンパクトにまとめた資料を以下で公開中です。 https://www.lib.niigata-u.ac.jp/learning_support/doc/20210709-3c.pdf

図書館学習サポーターへの相談もお待ちしています。

www.lib.niigata-u.ac.jp

 

参考文献

・科学技術振興機構 . 参照文献の書き方 . 科学技術情報流通技術基準ホームページ . 2007 . https://jipsti.jst.go.jp/sist/handbook/sist02_2007/main.htm ,(参照2021-10-28).

・藤田節子 . レポート・論文作成のための引用・参考文献の書き方 . 日外アソシエーツ , 2009 . 

opac.lib.niigata-u.ac.jp

 

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*1:「参考文献」:執筆にあたり参考にした文献、「引用文献」:引用した文献 を区別する場合もありますが、ここでは主に引用した文献のことを「参考文献」と言うことにしておきます。

*2:SIST_booklet2011.pdf (jst.go.jp)

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