後輩に伝えたい!卒業論文が完成するまでの道のり~研究生活で改善したいこと~

こんにちは。図書館サポーター・自然研M1 I.Rです。

本日は

私の卒業論文が完成するまでの経緯と

卒論までにやっておけばよかった

実験ノートや日頃の取り組みについて

書きたいと思います。

そもそも私は

自然科学研究科食料・生命科学専攻生物資源科学コースの1年で

農学部 農学科 生物資源科学プログラム 植物コースのOBです。

研究内容としましてはがっつりラボでの実験で屋外などには出ませんでした!

理系学生、特に農学部の学生にとって参考になれば幸いです。

また、私は当時、週3-4でアルバイトをしていたため、バイトの頻度の変化なども書いていきますので参考にしてみてください。

私の研究はキャッサバに感染するウイルスに対してほかのウイルスにおいて抵抗性のある遺伝子が効くかどうかを評価することでした。

卒業論文の完成までの

  • 卒論提出までのざっくりとしたスケジュール

  • テーマ決め

  • 研究状況 (夏休み前まで)

  • 研究状況 (卒論提出まで)

  • 卒論の書き方・大変だったことと改善点

の順に書いていきたいと思います。

 

卒論提出までのざっくりとしたスケジュール

3年次 卒論テーマの決定と本試験の準備

4年次

4月   進捗報告①と本試験

5月   遺伝子の種類を変えて本試験

6月   遺伝子の種類を変えて本試験

7月   進捗報告②、期待していた結果が出た

      アルバイト先の上司が苦手で週4→週3へ

8月     本試験の個体数や反復数が不足していることが発覚、急ピッチで試験

9月     反復を取ったら結果が変わった→安定した結果への条件検討

10月   反復と条件検討の繰り返し

11月 進捗報告③、実験条件について先輩からの助言→条件を再度検討

      自分の担当分のゼミも終わり、卒論を徐々に書き始める

         アルバイトを減らさないと卒論に間に合わず週3→週1へ

12月 実験結果が不安定だが、結果は出る→解析スタート

      データまとめ・先生に提示された提出条件までの卒論を書く

      卒業論文第1稿 先生に提出

1月   溜まっていた結果の解析

         学会準備

      卒論のほぼ完成、卒業論文第2稿 先生に提出

2月  学会・卒論発表に向けた準備と本番

      卒業論文最終稿 先生に提出

      卒業論文 学務に提出

3月   引継ぎデータの作成

 

テーマ決め

私の研究室では先生が決めてくださったテーマから6つ、同期4人で選ぶ形になっていました。テーマにはそれぞれ魅力と困難な点が記されており、4人でやりたいものを指さす形で決まりました。実際、1人と被ってしまいましたが、大きなテーマは同じで共同研究者として一緒に研究する仲になるため、話し合って意外とすんなり決まったことを覚えています。テーマが決まったのは3年の冬だったため、

「まだ3年生だし、やることやれば大丈夫でしょ!」

とそんな気持ちで研究生活がスタートしました。

テーマの決め方や提示の仕方は研究室によって異なると思いますが、自分の興味があるもの、院進してもやり続けられそうなものを直感で選ぶことをお勧めします。もちろん、就職に集中できるようなテーマなどもあると思いますので、ご自身の状況に合わせて選べればベストだと思います!

 

研究状況 (夏休み前まで)

4年に進学し、授業も必修以外はほとんどとらなくてもよかったため、研究室にいる時間が3年次よりも多くなりました。

この当時心がけていたことはとりあえずやるでした。実験で用いる植物を生育したり、4種類ある候補遺伝子をそれぞれ使ってみたりと、たくさんやってみました。しかし、大して実験をしたことのない私にとって時間は多くかかるし、候補遺伝子の効果は怪しいし…と、早くも心折れそうになった時、候補遺伝子の中で効果がありそうなものを発見しました!進捗報告に向けてウキウキしてました。

この当時、実験とバイトの両立は比較的可能で、上司が嫌にならなかったら週4のままでも行けたかもしれませんが、正直、週3になり楽だったなとは思います。また、7月にコロナウイルスに感染してしまい、2週間近く自宅療養でした。この出来事が後々に響きます…。

 

研究状況 (卒論提出まで)

夏休みに入り、「よし、帰省しよう!」とそんな浮かれていた私に襲い掛かったのが、療養中の実験データの解析でした。私の実験は共同研究者がいるため、先方とのミーティング (先生が行ってくれています) のために、実験データを解析しないといけませんでした。しかし、うちの先生は優しい!!「できるとこまででいいですよ。」そんな優しい言葉をかけていただいた私ですが、帰省前には終わらせようと、帰省する前日21時近くまで学校で実験しました。この時の救いだったのは先輩も実験しており、実験後には一緒にラーメンを食べに行ったことです。遅くまで頑張った時のラーメンは格別でした。

新潟に戻ってきて実験と夏休みのお出かけを楽しんでいた私でしたが、本試験での勘違いが発覚!それが先生のこんな一言。

「実験って一反復しかしてませんよね?」

今思えば当たり前なのですが、この分野での実験は1試験区に最低植物体を3個体用意し、その試験区を3反復行うのが理想です。

例えば抵抗性候補遺伝子を発現した植物を3個体、対照区で遺伝子を発現していない個体を3個体というように実験を進めていくべきでした。初めての実験で勘違いしており、お試し実験での個体数と本試験の個体数を変えなかったり、反復の個体数=試験で用いた個体数だから3個体やって終わり?のように考えていました。ここからはがむしゃらです。夏休み前までの試験区をもう一度やってみたところ…

まさかの結果が変わる(´;ω;`)

なぜ変わったのかを検討し、もう一度繰り返し、また条件検討しと実験を繰り返しました。その中の方法で比較的安定して結果が出ていたものがあり、卒論への心配は軽減しましたが、かなり焦りは覚えていました。

卒論についてですが、卒業した先輩が口を揃えて

「緒言とマテメソ (実験手法や実験材料) は夏休み中に書いておけ」

と言っていました。私の場合、目次は作成したのですが緒言までは書かなかったことを後悔しています。卒論は実験が終わらなければ書けないと思ってしまいますよね。でもふたを開ければ、参考文献をもとに緒言 (研究の背景) や実験手法と材料 (マテメソ) は書けるもんなんです。時間があるときにやっておけばよかった。そう思ったのは提出一か月前でした。

最後の進捗報告が終わり、実験の再条件検討を行い、実験を行いました。当時の予定ではゼミが終わり次第、卒論を書き始め、実験は遺伝子発現の解析をある程度終わらせている、そんな余裕のある予定でした。

しかし、そんな甘い自分の見積もりに悲しくなった冬、実験の再検討、遺伝子発現の解析すら着手しておらず、卒論も夏休みの目次で止まっており、実験データは進捗で報告したもの以外整理されていない…。しかし、締め切りまで時間がない!そんな状態での心の持ちようとしては

もうやるっきゃない!

今思えば、結局根性論かもしれませんね。

博士課程前期の先輩の修論の提出は自分たちよりも一か月早く、焦っているそんな背中を見て過ごした私は、先輩のように生活するしかないと決意を胸に追い込みの4か月がスタートしました。7時-19時で学校に行き、午前は実験、午後は卒論の生活を送りました。長い時は20時を過ぎた日もありました。そんな時、心の支えになってくれたのは先輩はもちろん、同期でした。このご恩は忘れません。まあ、正直、朝起きれなかったりしましたが、無事にすべての提出締め切りに間に合い、最終稿を提出しました。めでたし、めでたし。

 

卒論の書き方・大変だったことと改善点

卒論には以下のような幾つかルールがありました。卒論に限らず、実験レポートなどで気にすべき点なので納得いただけることも多くあると思います。

・日本語と英数字のフォントの指定 (適した中から自分のお気に入りのフォントを使おう)

・行数、文字数指定 (1ページあたりの文字数や行間の指定があるかも)

・単位や括弧の前は半角スペース

・図の説明は中央揃え、表の説明は表の前に書くのに図の説明は図の後に書く

 などなど

他にもたくさんルールはありますが、このルールを守ることが重要でした。なぜなら、見た目がとても綺麗!!だからです。大変ですが、指定されたルールで書くことは重要です。

私の論文の構成は

・緒言

・結果①ー序文・実験方法など・結果・考察

・結果②ー序文・実験方法など・結果・考察

・総合考察

の4部構成でした。図や表をルール通りに作成し、180ページ、5万字の大作となりました。緒言は主に先行文献の内容と本研究の意図を書き、結果①、②は序文で大まかなこと、結果は写真加工や統計解析した図や表、言葉での説明、その結果を受けた考察を書きます。総合考察として自分が行った研究に対してまとめや考察をします。最後に摘要や参考文献、謝辞などを書いて終わります。

卒論提出までに大変だったことを受けて改善したいことは5つです。

  1. データをこまめに整理する
  2. 実験ノートをもっと正確に記入する
  3. 卒論の見直し時間を確保する
  4. 研究を言語化するのに慣れておく
  5. 先生とたくさん相談する

1つ目のデータの整理についてですが、私の場合は実験結果すべてを卒論に載せました。植物体の写真を加工し、サイズがわかるようにスケールバーを付けなくてはいけません。綺麗に見せるためにすべての写真の大きさ、形を統一することが求められます。この作業に時間がかかりました。こまめにデータを整理しておけば…そう何度思ったことか。また、引き継ぎデータの作成の際に卒論で用いた図や表なども保存することになります。用いた図や表を一箇所に保存しておくと後々楽だったかもしれません。(あの時の私は卒論を完成させることで頭がいっぱいでした…)

今では、研究用のファイルを作成し、逐一試験区ごとにファイリングしています。隙間時間に写真加工し、加工用のフォルダも作りました。後回しにすることもありますが、チマチマやることが重要です!

 

2つ目の実験ノートの正確な記載についてですが、私の実験は日々似たようなことの繰り返しでした。実験で用いる遺伝子が異なるくらいが日々の差でした。そのため、何月何日にどんな実験を行ったか、保存されている産物はいつの何かを覚えておく必要があります。ノートにあるこの実験結果はどの実験の結果なのか、さかのぼってチェックするのに手間がかかりました。ある作業をしてしまえば、あとは好きなタイミングで実験できたため、実験期間に差があると忘れちゃうものですね…。

かつては実験を行った日と内容を書いていたのですが、それに加えて、いつの何を使って、それはいつどうしたものなのかを書くようにしています。簡単に言えば、丁寧にかつ詳しく書くに越したことはありません。ほぼ毎日書くものなので、めんどくさがってしまいますが、この日々の積み重ねが卒論であなたを救うはずです!

 

3つ目の卒論の見直し時間を確保することについてですが、正直、テストでもなんでも見直しなんて当たり前なので、この見直し時間の確保なんて当たり前ですよね!って自分も思っていました。しかし、何といっても時間がない!卒論のルールを守っているつもりでも抜けがあったり、誤字脱字をしていたりとミスが続きます。自分ではできているつもりでも意外とミスは多いものです。私の研究室では同期同士で卒論をチェックする相互チェックを行い、先生へと提出します。この相互チェックでミスを見つけて、直しても先生のところでミスがある…そんな見直しと訂正の戦いが繰り広げられます。

これについての改善方法は1つ、それは余裕をもって卒論を書くことです!余裕があれば、各ページごとに見直ししながら書けばいいし、ある程度書いたら見直して、次を書くとしてもいい。おすすめは声を出しながら読むことです。時間はかかりますが、ミスを見つけるには効果的です!

 

4つ目の研究の言語化なのですが、慣れるためにはゼミが一番かなと思います。私の研究室は1タームで1本の英語論文を読み、スライドと要旨を作成します。この時に英語直訳を述べるのではなく、自分なりの日本語で訳して研究を発表することが重要です。と言いましても、卒論時はまた異なり、何も言語化されていない自分の研究を言語化していきます。自身の参考文献などから自分なりの言い回しを見つけてください!

研究の言語化として効果的な練習は地元や同じ学部・他学部の友達に「なんの研究しているの?」って聞かれたらチャンスです。聞き手の専門性を見極めて自身の研究を説明してみるといいかもしれません。

 

最後に先生とたくさん相談することについてですが、私の実験室と先生の居室は廊下を挟んで向かい合っています。やばい!わからない!そうなっても先生に相談しに行けます。ただ、わからなくなってから相談することは多かったのですが、今こんな実験をして、こんな結果になってます、というような報告は少なかったです。何を優先的にやるのか、今自分が行っている実験手法などは正しいのか、自分で判断しています。たまに先生に実験内容を報告することで軌道修正してもらうのもありかなと思います。

研究室によっては相談に行きにくい、先生と実験室が遠いなど多くの制約はあると思います。進捗報告や中間報告などで自分の行っていることを正確に伝えたり、聞きにくかったら先輩と行くなどして先生とのコミュニケーションは円滑にしておきましょう!

 

長々書いてきましたが、最後に簡単にまとめさせていただきます。

実験ノートは必要以上に丁寧に書く。

卒論は時間かかる。やれるときにやれることはやる。

先生とのコミュニケーションは積極的に円滑に。

もし、今から行動を起こすのであれば、今までの実験データなどの整理から始めてみてはいかがでしょうか?

皆様が無事に卒論を書き終えるまで、いつでもサポートしますのでぜひ、図書館サポーターを利用してみてください!

 

 

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