文系の大学院では何をするのか

新大生の皆さんこんにちは!

現社研M2のS.Nです!

 

突然ですが、文系の大学院と聞いた時、皆さんはどのような印象を持ちますか??

おそらく、「大学院進学は理系がするものだ」という考えが浮かぶ方が多いのではないでしょうか。

そして、以下のようなネガティブな印象がある人も少なからずいるかと思います。

「就職活動に失敗したのかな」

「お勉強が大好きなのかな」

「最終学歴を塗り替えたいのかな」

「文系の大学院に行っても何も役に立たない」

 

上記のものはすべて、私が大学院進学を検討した際に耳目に触れたものです。

私も大学3年生くらいまでは、「理系は大学院に進学するのが当たり前」、「文系は大学を卒業してすぐに就職するのが当たり前」と考えていましたし、文系の大学院に対してあまり良い印象を持っていませんでした。

 

しかし、文系の大学院への進学を検討し、実際に入学して就職活動を終えた現在では、上記のようなイメージは大きく変化しました。

 

そこで、より多くの人に文系の大学院の実態を知ってもらうことでネガティブなイメージを払拭し、大学院進学を将来の選択肢の一つとして位置付けてもらうべく、本記事では、文系の大学院では具体的にどういったことを学ぶのかについて紹介していきたいと思います。

 

※本記事は、新潟大学大学院現代社会文化研究科経済経営専攻に在籍している筆者の経験に基づいたものが多分に含まれており、あくまでも一つの例として参考にしていただければと思います。また、文系の大学院といっても、人文学系、教職系、法学系、経済系、経営系など様々な分野があり、その分野ごとに特色が異なることを前提として本記事を読んでいただけると嬉しいです。

 

 

 

 

1. 大学院の授業形態について

まず、大学院の授業形態についてご紹介します。

大学での授業は講義形式が中心ですが、大学院の授業は「演習形式」が中心となります。

演習形式とは、学生が資料(レジュメ)を作成して発表し、その発表内容を基にしてディスカッションを行う形式の授業をいいます。学部でのゼミ活動を想像していただければわかりやすいかもしれません。

 

私が履修した授業の大半は、上記の演習形式でした。

演習形式の授業では、履修者でローテーションをして発表を担当するのが通常であるため、その授業の履修者が多ければ多いほど発表の負担は減少します。

特異な例ですが、私が履修した授業では私の他に履修者が一人もおらず、先生と私のマンツーマンでの授業が多くあったため、かなり大変だった覚えがあります。

 

しかしながら、演習形式では、自分で様々な文献に当たり、わからないことはその都度調べながら資料を準備するため、講義形式と比べてより多くの知見を主体的に得ることができます。

また、演習形式の授業で作成する資料の中には、自分の考察を入れることが基本となります。すなわち、演習形式の授業は、学部等で得た知識を基にして考えた自己の意見を発表する機会ともいうことができ、このアウトプットを通して、その議題に対する理解を深めることができます。

さらに、他の履修者や先生とのディスカッションを通して、新しい考えに触れることができ、文献を読むだけでは得られない知見を得ることもできます。

 

以上のとおり、大学院の授業は演習形式が中心であり、レジュメの作成等の負担は大きいものの、そこから得られる学びも大きいということがご理解いただけるかと思います。

 

 

2. 演習形式の具体例

演習形式といっても、すべてが同じ形態の授業とは限りません。

私が履修した授業では、大きく2通りの形態がありました。

 

①第1類型

第一に、事前に指定された教科書の範囲を要約し、議論したいこと及びそれに対する自己の考えをまとめるというものです。

例えば、以下のような内容でのディスカッションがありました(税務会計の専門的な内容なので、わからない方は飛ばして下さい。)。

 

指定された教科書の範囲:引当金に関する内容

自分で設定したテーマ:法定引当金以外の引当金は、法人税法上の損金に算入されることはないのか。仮に算入されないとした場合、どのような論理構成によって損金算入が否定されるのか。

 

上記の類型においては、教科書を読んで疑問に思ったことを自分で調べて考えをまとめ、それを基にしたディスカッションをすることによって学びを深めるという意味合いが強いと思います。

 

②第2類型

第二に、裁判例の研究報告があります。

こちらの類型は、文系の大学院の中でも、法学系の授業で行われる内容になります。

本記事を読んでくださる方に法学系の方が存在するのかどうかわからないので、詳細は省略しますが、大体以下のような流れでレジュメを作成し、ディスカッションをします。

・テーマを設定する(例:~~事件)。

・事案の概要をまとめる。

・裁判所の判断をまとめる。

・学説及び先行研究を分析する。

・考察する。

 

上記の類型も、ディスカッションを通して自分にはない意見に触れることによって学びを深めるという点において、第1類型と共通しています。

 

 

3. 新潟大学大学院現代社会文化研究科について

新潟大学大学院には、現代社会文化研究科という文系の大学院が設置されています。

現代文化専攻、社会文化専攻、法政社会専攻、経済経営専攻の4つの専攻が設けられており、学部時代の専門分野で引き続き研究することも、学部時代の専門を変更して大学院から新しい分野の研究を始めることもできます。

大学院を受験するためには事前に指導教員からの受入許可を得なければならないため、受験することを決めたら、なるべく早めに連絡を取るようにしましょう。

大学院進学を迷っているという方は、ゼミの先生に相談したり、大学院の説明会に参加したりすることをおすすめします。

もちろん、図書館学習サポーターへの相談もお待ちしております。

 

 

4. 文系の大学院で得られるもの

「文系の大学院に進学しても意味がない」と言われることがあるので、以下では大学院で得られるものについて簡単にまとめます。

・専門的な知見やスキルが身につく。

・知的好奇心が満たされる。

・論理的思考力が身につく。

・(進学する大学院によっては、)人脈が広がる。

・大学時代にやり残したことを達成することができる。

・修士号以上しか採用されない職に就くことができる。

・初任給が高くなる。

 

上記に挙げたものを得られるかどうかは各人のやる気次第です。

やる気次第で大学院の2年間の価値は変わります。

 

5. おまけ

①文系大学院生は就職に不利か

「文系大学院生は就職に不利である」という主張をよく目にしますが、私はこの主張は正しくないと考えています。

明確な目的を持たず、消極的な理由で大学院に進学した人に関しては、就職活動が上手くいかない可能性はありますが、それ以外の人に関しては、決して就職に不利になることはないと思います。

特に、理系大学院生同様、文系大学院生も自己の専門分野に合わせた就職先を選択すれば、学部卒に比べて専門性を持った人材として扱われ、就職に有利になるのではないでしょうか。

また、希望する就職先が自分の専門分野と多少ずれていたとしても、その企業や職種に対する熱量を示し、大学院での自己の頑張りを証明することができれば、何も問題ないと考えます。

余談ですが、私は大学院で租税法を専攻していたため、事業会社の経理職や税理士法人への就職活動は有利に進められたように感じます。

 

(しかし、何をもって就職に有利・不利というべきか明確ではないため、この議論自体あまり意味がないかもしれません。)

 

 

②大学院でも講義形式の授業はあるのか

上記では演習形式の授業についてのみ触れましたが、大学院にも講義形式の授業は非常に少ないですが存在します。

例えば、現代社会文化研究科の必修科目として「研究入門」という授業があり、オムニバス形式で各分野の研究方法や研究内容を学ぶことができます。

私が履修した授業の中で講義形式のものは上記の「研究入門」だけでした。

授業の形式や内容については、事前にシラバスで確認するようにしましょう。

 

 

6.おわりに

以上、文系の大学院について簡単にご紹介しました。

もし興味を持った方がいたら、大学院進学を検討してみてください!

その際は、図書館学習サポーターも一生懸命サポートします!

 

引き続き図書館学習サポーターをよろしくお願いします!

 

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