楽しむ数学・わかる数学③

みなさんこんにちは!

自然科学研究科 M2 の S.K です.

 

この記事に興味を持ってくださりありがとうございます!

 

前回の記事では,正方形の上に一定以上距離を離してピンを刺す問題や,白黒のマス目の上を,すべてのマスをちょうど 1 回ずつ通ってスタート位置に戻ってこられるか,という問題を考えました.

 

今回の記事でも,”わかる” を大切にする数学をお見せできればと思います.

 

それでは早速次の問題を考えてみましょう.

 

問題

サイコロを 7 回振ります.同じ目が 2 回以上出る確率はどれくらいでしょうか?

 

 

わかる人には物足りない問題かもしれません.

実は,確率の計算は一切不要です.

 

答えは 100% です.

 

え?と思った方もいるかもしれません.

しかし冷静に考えれば当たり前の事実です.

 

サイコロの目は 6 個しかありません.

連続でサイコロを振っていったときに,どんなに運よく違う目が出続けたとしても,7回振ったら必ず 2 回以上出る目ができてしまいます.

「なぜそうなるのか?」と聞かれても,「こうなるしかないから」以上の説明はできません.

このようにこれ以上説明できないが確実に正しいことを数学では「原理」と呼びます.

 

このサイコロの問題に登場している原理は ”鳩の巣原理” と呼ばれています.(聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか?)

 

たとえば 5 羽の鳩が 4 個の巣箱に入るとすると,どこかの巣箱には少なくとも 2 羽の鳩が入ることになります.

この事実を踏まえてこのような名前がついています.

サイコロの話も理屈は一緒で,サイコロの目の数よりも多くサイコロを振れば,必ず 2 回以上出る目ができてしまうというわけです.

 

他にも次のようなことが鳩の巣原理からわかります.

 

13 人集まったら必ず誕生月が同じ人が 2 人以上いる.

 

1 年は 12ヶ月なのでこれは当然です.

 

48 人集まったら必ず出身都道府県が同じ人が 2 人以上いる.

 

日本の都道府県は 47 しかないのでこれも当然です.

 

 

数学における「原理」は証明を必要としない,誰もが認める事実と言えます.

このような証明を必要としない絶対の事実から出発して,論証を重ねて構築していくものが数学です.

 

現在の数学の出発点となっている原理を認めたくないという人もいるかもしれません.

原理とはそれ以上説明のしようがないものなので,本当に正しいのか?なぜ正しいのか?という問いに答えられる人はいません.だからこそ,認めなくても良いのだと思います.

 

もしかすると現在の原理を証明がいらないものと認めなくても,原理だと思っていたものが証明できてしまうような矛盾のない理論を構築できてしまうのかもしれません.

 

ぜひ常識や先入観にとらわれずに,立ち止まってゆっくりと考えてみてください.

 

納得するには時間がかかる内容も含まれていたかもしれません.

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

 

【参考文献】

根上生也.数学探偵セイヤ.初版,株式会社フジテレビKIDS,2005年,152p.

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